超高速衝突問題をFEMで解析する
宇宙デブリ,
超高速切削, などなどに適応可
このページは1998年6月22から開いています.
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ある物体どうしが超高速で衝突する場合, その損傷状態は衝突速度によって大きく変化します. なぜなら,衝突時に発生する応力は,衝突速度(粒子速度)に比例するからです. 発生する応力には,密度は依存しますが,体積は依存しません. よって材質が同じな場合,大きな物も小さな物も,衝突速度が同じであれば, 発生する応力は同じです.
応力は波と同じように時間と共に伝播します. すなわち物体が衝突すると粒子速度に応じて, 弾性波と塑性波が発生します. 波が通過した場所は,弾性または塑性変形します. 弾性波の方が塑性波よりも早く伝播します. 金属の場合弾性波の波頭はおよそ5000 m/sで伝播し, 塑性波の速度は,流動応力特性に依存しますが, 弾性波の1/10から1/100の速度となります. 衝突速度が塑性波よりも早い,または弾性波よりも早い場合には, 衝撃波が発生するか,またはどうなるか...
宇宙ステーションに宇宙デブリが衝突する場合は,上記の理由により, 莫大な損傷が起こる可能性があるのです. したがって,衝突しても損傷を最低限にとどめるようなバンパーの設計が 必要になります. 設計を行うためには,衝突過程をシミュレートする必要があります. なぜなら超高速の衝突実験を行うことは,なかなか困難であるからです. 解析を行う場合,応力が波で伝播しますので, あらぶる魂をニュートンの運動方程式に替えて定式化する必要があります. また,その現象をうまく表現できる物性特性を解析に導入することは不可欠です.
もちろん,超高速切削時に何が起こるのかも,興味深いですね.
これは,超高速で物体が衝突する過程を弾塑性有限要素法でシミュレートした例です. 解析プログラムは現在も改良中のものです. なおアニメーションの時間経過は,不均等です.
解析した有効応力(相当応力)分布です.
解析した温度分布です.
これは,右側の衝突される物体の右端と上下を固定端としています. 固定端で反射した応力は,大きさが倍になって戻ってきます.
左側の図は解析した有効応力(相当応力)分布, 右側は解析した温度分布です.
これは,右側の衝突される物体が自由端としています. 自由端で反射した応力は,圧縮応力なら引張りに,引張り応力なら圧縮応力で 帰ってきます. 自由端の法線方向の応力は0です.
These results were simulated by the FEM software "RDynFem" that has been developed by Dr. SHINOZUKA Jun.